骨折と後遺障害

１　骨折と後遺障害の認定

交通事故により，骨折してしまった方にどのような後遺障害等級が認定される可能性があるのか以下，ご紹介します。

２　変形障害

骨折して，骨がきれいにくっつかずに（癒合せずに）変形したままになってしまう場合があります。

この場合には，変形障害として，後遺障害の等級が認定される場合があります。

脊柱に変形を残す場合には，11級7号が認定される可能性があります。

鎖骨，胸骨，ろく骨，けんこう骨，または，骨盤骨に著しい変形を残す場合には，12級5号が認定される可能性があります。

長管骨に変形を残す場合には，12級8号が認定される場合があります。

３　運動障害

⑴　運動障害

脊柱に運動障害を残すもの，すなわち，脊椎固定術が行われていたりした場合などには，8級7号が認定される可能性があります。

⑵　偽関節

偽関節とは，骨折部の骨癒合のプロセスが完全に停止してしまった状態のことをいいます。

例えば，腕に偽関節を残した場合には8級8号が，足に偽関節を残してしまった場合には，8級9号が認定される場合があります。

⑶　偽関節及び著しい運動障害

腕や足に，偽関節及び著しい運動障害を残してしまった場合には，7級9号ないし7級10号が認定される可能性があります。

４　機能障害

⑴　上肢（腕）について

肩，肘，手首の可動域が，後遺障害が残っていない健康な方の腕と比べて，4分の3以下に制限されてしまったときは，12級6号が認定される可能性があります。

2分の１以下に制限されてしまった場合には，10級10号が認定される可能性があります。

また，習慣性脱臼や，動揺関節になった場合にも，12級6号が認定される場合もあります。

⑵　下肢（足）について

股関節，膝，足首の可動域が，後遺障害が残っていない健康な方の足と比べて，4分の3以下に制限されてしまったときは，12級７号が認定される可能性があります。

2分の１以下に制限されてしまった場合には，10級11号が認定される可能性があります。

また，習慣性脱臼や，動揺関節になった場合にも，12級6号が認定される場合もあります。

５　局部の神経症状

骨折した部位の骨がきれいに癒合しているが，痛みが残っている場合には，14級9号が認定される可能性があります。

骨がきれいにくっついておらず，不正癒合が原因で痛みやしびれが残っていると医学的に判断が可能である場合などには，12級１3号が認定される可能性があります。

なお，12級や14級が認定される場合には，機能障害，運動障害，変形障害に該当していないことが前提となります。