聴力障害
症状例:耳の聞こえが悪い
耳の聴力障害は,4級3号から14級3号までの等級が認められます。
耳の聴力障害は,両耳の聴力に関するものと,片耳の聴力に関するものの2つがあります。
両耳の聴力障害
両耳の聴力障害は,次の表のとおり,4級3号から11級5号までの等級が認められます。
4級3号 | 両耳の聴力を全く失ったもの |
---|---|
6級3号 | 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの |
6級4号 | 1耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
7級2号 | 両耳聴力が40cm以上の距離では,普通の話声を解することができない程度になったもの |
7級3号 | 1耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することがでない程度になったもの |
9級7号 | 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
9級8号 | 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり,他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの |
10級5号 | 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの |
11級5号 | 両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの |
片耳の聴力障害
片耳の聴力障害は,次の表のとおり,9級9号から14級3号までの等級が認められます。
9級9号 | 1耳の聴力を全く失ったもの |
---|---|
10級6号 | 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの |
11級6号 | 1耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
14級3号 | 1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの |
両耳の聴力レベルと最高明瞭度との組み合わせによる認定基準一覧表
両耳聴力 | 最高明瞭度 | ||
---|---|---|---|
30%以下 | 50%以下~30%超 | 70%以下~50%超 | |
90dB以上 | - | - | |
90dB未満~80dB以上 | 4級3号 | - | - |
80dB未満~70dB以上 | 6級3号 | - | - |
70dB未満~60dB以上 | 7級2号 | - | |
60dB未満~50dB以上 | 9級7号 | ||
50dB未満~40dB以上 | 10級4号 |
耳の聴力レベルと最高明瞭度との組み合わせによる認定基準一覧表
1耳聴力 | 最高明瞭度 |
---|---|
50%以下 | |
90dB以上 | - |
90dB未満~80dB以上 | - |
80dB未満~70dB以上 | - |
70dB未満~60dB以上 | 11級6号 |
60dB未満~50dB以上 | |
50dB未満~40dB以上 | - |
聴力検査の方法
後遺障害等級認定のための聴力検査は,純音聴力検査及び語音聴力検査により行います。
純音聴力検査は,オージオメーターを使用し,気導聴力検査と骨導聴力検査の2つが実施されます。
語音聴力検査は,スピーチオージオメーターを使用し,語音聴取閾値検査と語音弁別検査が実施されます。
聴力検査は,原則として症状が固定した後に日にちを変えて3回行います。
語音聴力検査については,検査結果が適正と判断できる場合には,1回のみで終わることもあります。
聴力検査と聴力検査との間は,7日間程度あけることとされています。
純音聴力検査は,2回目の測定値と3回目の測定値の平均値で障害等級の認定を行います。
2回目と3回目の測定値の間に10dB以上の差がある場合には,さらに聴力検査を重ね,2回目以降の検査の中で,その差が最も小さい2つの測定値の平均純音聴力レベルにより後遺障害等級の認定を行います。
平均純音聴力レベルは,周波数を変えて,500ヘルツ,1,000ヘルツ,2,000ヘルツ及び4,000ヘルツの4種類の音に対する聴力レベルを測定し,次式により求めます。
(A+2B+2C+D)÷6
(注)
A:周波数500ヘルツの音に対する純音聴力レベル
B:周波数1,000ヘルツの音に対する純音聴力レベル
C:周波数2,000ヘルツの音に対する純音聴力レベル
D:周波数4,000ヘルツの音に対する純音聴力レベル
聴力障害
1 交通事故と聴力障害
交通事故の被害にあわれた方の中には,事故にあわれたことにより,聴力に障害を残してしまう方もいらっしゃいます。
2 聴力障害の判断基準
聴力障害の等級は,純音による聴力レベル(純音聴力レベル)と語音による聴力検査結果(明瞭度)を基礎として認定されます。
具体的には,聴力検査は日を変えて3回行います。
検査と検査の間は,7日程度あける必要があります。
ただし,語音による聴力検査は検査結果が適正と判断される場合,1回で差支えありません。
等級認定は2回目と3回目の測定値の平均純音レベルに10db以上の差がある場合には,さらに聴力検査を重ね,2回目以降の検査の中でその差が最も小さい2つの平均純音聴力レベルの平均(差は10db未満)により行います。
平均純音聴力レベルは,周波数A500ヘルツ,B1000ヘルツ,C2000ヘルツ,D400ヘルツの音に対する聴力レベルを測定し,(A+2B+2C+D)÷6で求めます(6分式)。
3 聴力障害の種類
⑴ 両耳の聴力
ア 両耳の聴力を全く失ったもの(4級3号)
①両耳の平均純音聴力レベルが90db以上のものをいいます。
②両耳の平均純音聴力レベルが80db以上であり,かつ,最高明瞭度が30%以下のものをいいます。
イ 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することのできない程度になったもの(6級3号)
両耳の平均純音聴力レベルが80db以上のものをいいます。
ウ 1耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解するものができない程度になったもの(6級4号)
1耳の平均純音聴力レベルが90db以上であり,かつ,他耳の平均純音聴力レベルが70db以上のものをいいます。
エ 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの(7級2号)
①両耳の平均純音聴力レベルが70db以上のものをいいます。
②両耳の平均純音聴力レベルが50db以上であり,かつ,最高明瞭度が50%以下のものをいいます。
オ 1耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの(7級3号)
1耳の平均純音聴力レベルが90db以上であり,かつ,他耳の平均純音聴力レベルが60db以上のものをいいます。
カ 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの(9級7号)
①両耳の平均純音聴力レベルが60db以上のものをいいます。
②両耳の平均純音聴力レベルが50db以上であり,かつ,最高明瞭度が70%以下のものをいいます。
キ 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり,他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの(9級8号)
1耳の平均純音聴力レベルが80db以上であり,かつ,他耳の平均純音聴力レベルが50db以上のものをいいます。
ク 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの(10級5号)
①両耳の平均純音聴力レベルが50db以上のものをいいます。
②両耳の平均純音聴力レベルが40db以上であり,かつ,最高明瞭度が70%以下のものをいいます。
ケ 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの(11級5号)
両耳の平均純音聴力レベルが40db以上のものをいいます。
⑵ 1耳の聴力
ア 1耳の聴力を全く失ったもの(9級9号)
1耳の平均純音聴力レベルが90db以上のものをいいます。
イ 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの(10級6号)
1耳の平均純音聴力レベルが80db以上90db未満のものをいいます。
ウ 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの(11級5号)
①1耳の平均純音聴力レベルが70db以上80db未満のものをいいます。
②1耳の平均純音聴力レベルが50db以上であり,かつ,最高明瞭度が50%以下のものをいいます。
エ 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの(14級3号)
1耳の平均純音聴力レベルが40db以上70db未満のものをいいます。
4 聴力障害に対応できる弁護士
聴力障害に関しては,聴力障害の後遺障害認定を受けるために,適切な検査を受けなければなりません。
必要な検査が適切に実施された上で,後遺障害診断書が作成されているか否かを見極めるためには,交通事故に精通している必要があります。
5 弁護士法人心に依頼するメリット
弁護士法人心では,所属するそれぞれの弁護士が得意分野をもって活動しており,交通事故を得意分野とする弁護士も多数所属しています。
後遺障害に関しては,後遺障害を認定する損害保険料率算出機構の元職員が所属しており,適切な後遺障害を獲得するためのアドバイスを受けることができます。
交通事故で聴力障害にお悩みの方は,弁護士法人心まで,ご相談ください。