尾骨骨折の後遺障害
1 はじめに
尾骨は、脊柱の一部(末端)に当たります。
このため、尾骨骨折に対する後遺障害の有無を検討するに当たっては、脊柱の後遺障害の基準が適用されることになります。
2 該当可能性のある後遺障害について
骨折後、変形したままであり、これがエックス線写真等により確認できる場合は、「脊柱に変形を残すもの」(後遺障害等級11級)に該当します。
変形までには至らないが、痛みが残った場合には、この原因が画像上明らかなものについては12級、画像上から明らかではないが将来にわたり痛みが継続すると判断された場合には14級に、それぞれ該当することとなります。
3 14級の認定と、他の等級認定との違い
上記2の11級・12級は、画像上の異常が認められるのに対し、14級は、画像上の異常は認められないものの、事故状況や治療の経過に照らし、将来にわたり痛みなどの症状が継続するものと認定された場合の等級となります。
14級が認定されるための要件は以下のようになります。
ア 将来の回復の見込みがないこと
後遺障害とは、治療やリハビリを継続したにもかかわらず、何らかの症状が残ってしまったもののうち、将来の回復が見込めないものをいいます。
このため、事故状況や治療経過に鑑み(例:治療終了時点では痛みが残っているが、それまで継続して症状の回復が記録されている状態など。)、将来の回復の可能性があるとされた場合は、後遺障害としての認定は困難となります。
後遺障害の申請をしたものの、認定されなかった事例の多くが、この理由によるものです。
イ 痛みの程度が、労働能力に影響を及ぼすものであること
14級は、後遺障害等級の中でもっとも軽度の後遺障害に対する等級となりますが、この等級が認定されると、後遺障害がないときと比べ、労働能力が5%喪失したものとされます。
このため、痛みがあっても、5%の労働能力喪失までに至らない程度の痛みであると考えられる場合には、後遺障害として認定されないことになります。
4 まとめ
後遺障害の認定に当たっては、医学などの専門的な知識が必要となりますので、専門家である弁護士にご相談ください。