交通事故によるうつ病と後遺障害認定
1 交通事故によってうつ病になることがあるのか
交通事故の後、うつ病になってしまい、そのうつ病が交通事故によるものだと認定された場合には、相手方に対してうつ病になったことについての補償を求めていくことができます。
ただし、交通事故によってうつ病が生じるというのはかなりの例外であり、交通事故によってうつ病が生じたとしてその賠償が認められるということはめったにありません。
交通事故によってうつ病が生じることは例外であることを前提に、どのような場合であれば交通事故によるうつ病と認められうるのかについて説明します。
2 うつ病が交通事故による後遺障害であると判断されるための要素
⑴ 病院での診察
うつ病が交通事故によるものであると判断されるためには、かならず医師による診察・診断が必要です。
本人がうつ病になったと感じているだけでは、交通事故によるうつ病であるとは認められません。
そのため、事故から間もないうちにうつ病が発生したことを医師に診察してもらい、その後も交通事故によるうつ病の治療として継続して診察を受け続け、最終的に長期にわたっても改善しないと医師によって診断をしてもらうことが必要となります。
⑵ 事故によってうつ病が生じてもおかしくないと考えられる理由
うつ病が交通事故によるものであると認められるためには、客観的に見て交通事故によってうつ病が生じてもおかしくないと考えられる合理的な理由が必要となります。
たとえば、かなり大きな事故に遭ってしまって自分自身身体に大きな傷が残ってしまった場合や交通事故によって同乗されていた家族が亡くなってしまった場合等、大きな精神的ショックを受けても客観的にの合理的であると考えられる事情がある場合には、交通事故との因果関係が認められる可能性があります。
⑶ 交通事故以外にうつ病が生じる理由がないこと
もともとうつ病やそれに近い精神的な障害を抱えていることがないか、あるいは、交通事故とは全く別の要因でうつ病になってしまうような精神的な負荷がかかる事情がなかったかどうかも重要な判断要素になります。