津で後遺障害で弁護士をお探しの方へ
1 津の方のご相談は当法人へ
⑴ 駅近くの便利な場所に事務所があります
弁護士法人心 津法律事務所は、津駅から徒歩0.5分という便利な立地にあります。
利便性のよい場所にありますので、津市や周辺地域からお越しいただきやすいかと思います。
⑵ 電話相談に対応
後遺障害はお電話でのご相談も承っておりますので、来所が難しいという場合には、電話相談をご利用ください。
電話、メール、郵送等でやり取りをさせていただくことで、ご相談の段階から示談交渉まで、一度も事務所にお越しいただかずに対応することも可能です。
⑶ ご相談のお申込みについて
ご予約のお申込みはフリーダイヤルやメールフォームから受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。
フリーダイヤルは平日21時まで、土日祝日18時までつながるようになっておりますので、お問い合わせいただきやすいかと思います。
後遺障害申請は弁護士にお任せください
後遺障害申請は、必要な資料を集めて提出するというのが主な手続きの流れとなります。
申請方法には、相手方保険会社が手続きを行ってくれる事前認定と、被害者自身で手続きを行う被害者請求の二通りあります。
事前認定の場合は、保険会社が手続きを行うため被害者の方の負担はほとんどありませんが、適切な等級認定が受けられるよう積極的に対応してくれるとは限りません。
そのため、保険会社に任せずに自分で対応したいという方もいらっしゃるかと思います。
そうはいっても、どのような資料が必要なのか、適切な資料を揃えて提出することができるのか等を不安に思う方も多いのではないでしょうか。
弁護士が後遺障害申請をサポートさせていただきますので、当法人にお任せください。
3 後遺障害の案件を得意とする弁護士が対応します
後遺障害は、法律の知識だけでなく医学的な知識も必要となります。
後遺障害に関する豊富な知識があり、日々研鑽を積んでいる弁護士に相談した方が、より適切なサポートが期待できます。
当法人は交通事故を得意としており、後遺障害についても適切なサポートを行えるよう「後遺障害チーム」を作り、適切な後遺障害の認定を受けられるように尽力いたします。
交通事故による後遺障害で弁護士をお探しの方は、当法人にご相談ください。
4 ご相談の費用について
弁護士に相談するか迷っている方の中には、費用の負担を気にされている方もいらっしゃるかもしれません。
当法人の交通事故のご相談には、弁護士費用特約をご利用いただけます。
これは、主に自動車保険等に付帯している特約で、弁護士費用を保険会社から支払ってもらうものになります。
契約内容によりますが、大半の場合はこちらの特約を使うことで費用の負担なくご相談・ご依頼いただけます。
また、弁護士費用特約がない場合であっても、後遺障害のご相談は原則無料で承っておりますので、後遺障害でお困りの際は、まずは一度ご相談ください。
後遺障害と成年後見制度
1 交通事故で成年後見制度?
後遺障害というと、簡単に言うと、通常、交通事故で受傷し、治療を継続したものの症状が残存したりした場合のことです。
これに対し、通常、成年後見制度と聞いてイメージしやすいのは、認知症を発症し、判断能力が減退した方が利用する制度、という感じかと思います。
そのため、交通事故被害と成年後見制度というのは、結びつきにくいかもしれません。
しかし、交通事故被害の場合でも、成年後見制度の利用が必要となるケースがあります。
2 成年後見制度の利用が必要となるケース
交通事故被害に遭い、意識不明となり意識が戻らない場合や、脳に損傷を負い、判断能力が著しく低下してしまった場合など、被害者自身で判断することが困難となった場合には、成年後見制度の利用が必要となってきます。
ただし、判断能力が低下したとしても、判断能力の程度によっては、成年後見制度ではなく保佐制度の利用となるケースもあります。
いずれにせよ、判断能力が低下した場合、成年後見制度・保佐制度の利用を検討する必要があります。
3 なぜ成年後見制度を利用する必要があるのか
上記のように、後遺障害等級認定が難しいという側面はありますが、痛みなどの症状が残っている場合には、適切な判断を促すためにも、後遺障害等級認定することをお勧めします。
⑴ 家族というだけでは代理できない
交通事故被害に遭い、後遺障害が残った場合、後遺障害等級認定申請を行うこととなります。
また、そのあとには、加害者側(保険会社)と示談交渉を行うこととなります。
示談決裂の場合には、訴訟手続きに移行することとなります。
いずれの手続きを行うにあたっても、被害者本人の判断能力が減退していると、適切に判断することができなくなってしまいます。
とはいえ、家族は法律上の代理人ではないので、代わりに示談書にサインするといったこともできません。
そのため、判断能力が減退した被害者本人に代わり、適切に判断してくれる代理人(法律上の代理人)を立てる必要があります。
この法律上の代理人になれるのが、成年後見人なのです。
⑵ 金銭管理
また、過失割合にもよりますが、一般的に、成年後見制度を利用しなければならないほどの後遺障害が残存した場合には、多額の賠償金が支払われることが少なくありません。
そうすると、適切に当該賠償金を管理することも必要となってきます。
この金銭管理を行うのが、成年後見人なのです。
むちうちが後遺障害に認定される場合
1 むちうちでも後遺症を残すこともあります
いわゆる「むちうち」は、傷病名でいえば頚椎捻挫や外傷性頚部症候群と言われるものです。
むちうちには様々症状があり、頭痛、頚部痛、吐き気などが挙げられます。
頚部痛などが後遺症として残ることがあります。
2 むちうちでは後遺障害等級認定は難しい理由
確かに、頚部痛など神経症状が残存しているため、後遺障害等級が認定されることもありますが、むちうちの場合、後遺障害等級が認定されることが難しいのが現状です。
それは、むちうちの場合、骨折などと異なり、症状の原因が画像等に現れていないことが多く、他覚所見がないため、残存した症状が回復困難であることなどを示すことが難しいためです。
3 等級認定申請を
上記のように、後遺障害等級認定が難しいという側面はありますが、痛みなどの症状が残っている場合には、適切な判断を促すためにも、後遺障害等級認定することをお勧めします。
⑴ 非該当と等級認定の差
後遺障害等級の認定を受けた場合と受けない場合とでは、損害額に大きな差が生じます。
後遺障害等級が認定されると、認定された等級に応じて、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益が発生し、加害者に請求することができます。
これに対し、後遺障害等級が認定されないと、上記の損害を請求することはできません。
そのため損害賠償額に大きな差を生じさせることとなります。
それは、引いては、適切な損害の補償を受けられないことになりかねないのです。
⑵ 認定される場合の等級
むちうちで後遺障害等級が認定される場合、「局部に神経症状を残すもの」として14級か、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級が想定されます。
むちうちの場合、12級が認定されるケースは稀であると思われます。
12級が認定される場合、他覚所見が認められることが必要となりますが、上述しましたとおり、むちうちの場合レントゲンなど画像所見がないことが多く、そのため、他覚所見が見当たらないのです。
そのため、12級が認定されるケースがあまりなく、等級認定される場合には14級となるケースが多いです。
後遺障害と後遺症はどう違うのか
1 後遺障害と後遺症は異なります
⑴ はじめに
治療を続けたものの、医師から「後遺症が残りますよ」と言われたので、等級認定されて慰謝料がもらえるはずだ!と仰る方が少なからずいらっしゃいます。
しかし、そうとは言い切れません。
後遺症と後遺障害は似ているようですが、異なる概念ですので、注意が必要です。
⑵ 後遺症とは
後遺症とは、病気や事故などに起因するケガを治療してきたものの、完全には治らず、将来的に回復が望めない症状が残った状態のことを言います。
一般的に、医師が言う後遺症は、まさにこの後遺症のことを言います。
⑶ 後遺障害とは
後遺障害とは、交通事故により負った傷害の治療を受けたものの、これ以上治療を続けても症状が回復する見込みがない状態に達し(症状固定)、結果、労働能力の喪失を伴う症状のことを言います。
すなわち、後遺症のうち、労働能力の喪失を伴うものであり、かつ、後遺障害等級に該当するものを「後遺障害」と言います。
後遺障害の概念については、自動車損害賠償保障法施行令に定められています。
2 どのような違いが生じるのか
⑴ 認定申請の有無
後遺症は、治療が終わっても完治しない場合を指す広い概念であり、誰かに認定される必要はありません。
これに対し、後遺障害と認定されるには、後遺障害等級認定申請を行い、等級認定されることが必要となります。
⑵ 損賠償請求の金額
後遺障害等級認定がなされると、等級に応じた「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」が認められることとなります。
ただし、被害者の年齢や収入等により、同じ等級であっても金額が異なります。
後遺傷害慰謝料は、入通院をした場合に支払われる傷害慰謝料とは異なる慰謝料ですが、等級認定がされないと受け取ることができません。
後遺障害逸失利益もまた、等級認定がされないと受け取ることができません。
逸失利益とは、事故に遭い後遺障害を残さなければ得られるはずであった将来の収入などを補填するものです。
労働能力の喪失を補おうとするものです。
そのため、後遺障害と認定されても、老齢年金のように労働能力に関係がなく収入が減少しない場合には、逸失利益が認められないケースもあります。
後遺障害申請を行う流れ
1 後遺障害申請
交通事故に遭い受傷し、治療を続けたものの、症状が残ってしまった場合、後遺障害等級申請をすることがあります。
この申請については、①被害者請求(被害者自身が行う場合)と、②事前認定(加害者側任意保険会社が行う場合)、といった2つの流れがあります。
2 ①被害者請求と②事前認定、共通の流れ
共通の流れは以下のとおりです。
医師に症状固定と判断される
↓
医師に、後遺障害診断書を作成してもらう
↓
(加害者側保険会社を通して)損害保険料率算出機構に必要書類を提出
↓
損害保険料率算出機構において審査
↓
審査結果を受け取る
3 ①被害者請求と②事前認定、異なる点
上記のとおり、①被害者請求、②事前認定、いずれの場合であっても、医師に後遺障害診断書を作成してもらう点や、損害保険料率算出機構が審査する点は共通します。
しかし、①被害者請求と②事前認定では必要書類の収集の有無などが異なります。
後遺障害申請では、事故証明書、診断書や診療報酬明細書、画像など様々な必要書類の提出が求められます。
②事前認定の場合、加害者側任意保険会社がすでに診断書や診療費請求書などの書類をすでに保管していますので(保険会社が治療費を負担している場合)、被害者は保険会社に後遺障害診断書を送付するだけで、あとは任意保険会社が書類を提出するなどの手続きを行ってくれます。
これに対し、①被害者請求の場合、被害者が、事故証明書や診断書・診療費請求書などの必要書類を収集し、提出しなければなりません。
4 どちらの手続きの方が良いのか
①被害者請求の場合、上記のとおり、被害者が必要書類を収集・提出しなければなりません。
そのため、被害者の視点からすれば、痛み等の症状が残っているにもかかわらず、自分で書類を収集・提出しなければならないなんて、手間ですし、負担がかかってしまいます。
とはいえ、②事前認定の場合、被害者は、どのような診断書の記載になっているのか分からないまま手続きを進めることになりかねません。
自分の症状が適切に記載されているか否か確認してから手続きを行うことが大切です。
そのため、被害者請求の方が良いかと思います。
ただ、必要書類の収集・提出が面倒だなと思われる場合には、被害者請求からでも(示談交渉前でも)弁護士に依頼していただくことができます。
弁護士に依頼していただいた場合、印鑑証明書の取得は被害者自身で行っていただくとしても、その他の必要書類(事故証明書、診断書や診療報酬明細書など)は弁護士の方で取得いたしますので、手間はかなり省けるかと思います。
後遺障害申請を弁護士に相談するタイミングについて
1 示談前であれば基本的にはいつでも可能
弁護士に対し交通事故に関する相談を行うタイミングは、基本的には、示談前であればいつでも大丈夫です。
示談をしてしまうと、示談を覆すことはほとんどできないため、示談後はご相談いただいても、お役に立てることはほとんどありません。
示談前であれば、いつでも相談は大丈夫ではありますが、できる限り、早いに越したことはありません。
2 相談時期
⑴ 後遺障害申請前
後遺障害申請については、保険会社も行ってくれます。
保険会社が行った申請結果に不服がある場合、異議申立てという不服申し立ての機会もあります。
しかし、一度出された結果を覆すことは簡単ではありません。
また、致命的な記載のある書類等が申請時に出されていた場合には、取り返しのつかないことにもなりかねません。
そのため、後遺障害診断書の記載内容チェックのためにも、申請前に相談されることをお勧めします。
⑵ 保険会社から申請を進められた場合
保険会社の側から、「そろそろ治療を終了されて、後遺障害の申請をされませんか?」と進めてくる場合もあります。
保険会社から申請を進められた場合、本当にその時期(申請時期)であるのかご相談ください。
以前に経験した悪質(?)なケースでは、事故から2カ月ぐらいで保険会社から勧められるまま、治療を終了し後遺障害申請を行ったむち打ち患者様がいらっしゃいました。2カ月の通院では、将来にわたって症状が継続するか判断することはできませんので、結果は明らかです。
結果は当然「非該当」です。
その方は保険会社の方が言うのだから問題がないと信じて治療終了に応じましたが、結果は非該当ですし、通院も止められていたので、いわゆる泣き寝入りを余儀なくされました。
保険会社の担当者によっては被害者に寄り添ってくれる方がいらっしゃるとは思いますが、保険会社から申請を勧められた場合には、まずは申請時期にあるのか相談されることをお勧めします。
⑶ 早めの相談を
事故に遭われて通院を余儀なくされるようであれば、まずは早めに相談されることをお勧めします。
特に初めて事故に遭われた場合、いつぐらいにどのようなことになるのか等を知っておくだけでも、今後の流れに関する不安が減るかと思います。
通院に際しての注意点などもアドバイスをできることもあるかと思います。
まずは早めの相談を。
後遺障害と症状固定日
1 大半は保険会社からの打診
交通事故により受傷し、通院している途中で、保険会社から「そろそろ後遺障害認定を」とか「症状固定と考えている」などと言って、治療費の支払いを打ち切る旨の連絡を受けることがあります。
このような連絡を受け、早計に保険会社に言われるまま、後遺障害診断書を医師に作成依頼する方もいらっしゃいます。
しかし、注意が必要です。
2 症状固定とは
症状固定とは、症状が依然として残ってるものの、これ以上治療しても症状の改善が期待できないと判断された状態を言います。
リハビリなどで一時的に症状が緩和したとしても、また症状が出てしまう状態のことを言います。
あくまでも治療の効果等に関して判断されるものですので、医師の判断によることが大切です。
ですので、上記のように、保険会社に言われたからと言って、必ずしも症状固定時期にあるとは言い切れないのです。
3 交通事故における症状固定日の重要性
⑴ 後遺障害等級認定申請
症状固定と判断され、後遺障害が残っているようであれば、示談交渉の前に、後遺障害等級認定申請をすることとなります(ただし、傷害分だけであれば計算は可能ですので、先に傷害分だけを示談交渉する場合もあります。)。
なお、症状が残っていても、等級認定するほどではないと判断したり、そもそも要件を充たしていなければ、後遺障害等級認定申請することなく、示談交渉に入ることもあります。
例えば、傷害がいわゆるむちうちの場合で、事故から症状固定日までの期間があまりに短いと、そもそも後遺障害等級認定しても非該当とされることが目に見えているので、認定申請しない、といったケースもあります。
⑵ 損害賠償額における扱い
症状固定日を基準に、損害額等が変わります。
基本的に、治療費や通院交通費、休業損害、傷害慰謝料は、症状固定日以前の分になります。
つまり、症状固定と判断されたら、基本的に、症状固定日以降の治療費は賠償されません。
そのため、症状固定日は、賠償請求との関係でも重要な意味を有します。
⑶ 後遺障害等級が認定されたら
治療費等について、症状固定日以降の分については、基本的に賠償されません。
しかし、後遺障害等級が認定された場合、後遺障害慰謝料や逸失利益が発生することがあり、その分の賠償を得られることとなります。
⑷ まとめ
上記のとおり、症状固定日は、賠償において重要な意味を有します。
また、症状固定と判断されなければ、そもそも後遺障害等級認定申請につながりませんので、その意味においても重要な意味を有することとなります。
後遺障害の認定までにかかる期間
1 後遺障害認定申請
交通事故に遭い、治療を続けてたものの、症状が残存してしまった場合、後遺障害の認定申請を行ったりします。
後遺障害認定申請をするにあたり、まず、通院していた医療機関に後遺障害診断書を作成してもらいます。
その後、保険会社を通じて、自賠責調査事務所に書類一式を提出し、申請結果が出るのを待ちます。
2 認定にかかる期間
⑴ 通常
通常、申請から結果が出るまで、2か月~3か月程度の期間を要します。
たいていのケースで3か月以内には結果が出ていると思います。
⑵ 長期化するケース
ただし、後遺障害の内容・程度によっては、認定結果が出るまでの期間が長期化することがあります。例えば、以下のような場合が挙げられます。
ア 高次脳機能障害が関連している場合
時間の経過とともに症状が変化したり、慎重な判断を要するため、時間を要する傾向にあります。
イ 外貌醜状
通常、自賠責調査事務所は書類・画像等により判断しますので、被害者と面談することはありません。
しかし、外貌醜状の場合は、被害者と面談し、面談の際に、傷跡の大きさなどを測定したりします。
そのため、時間を要する傾向にあります。
ウ 後遺障害が複数ある
ひとつひとつの後遺障害について等級認定の判断を行いますので、時間を要する傾向にあります。
3 認定が遅くなる理由・ケース
上記のように、後遺障害の内容・程度ではなく、認定が遅くなることがあります。
以下のような場合が例として挙げられます。
⑴ 医療照会に対する医師の回答待ち
症状の推移や所見について確認するため、調査事務所から通院された医療機関に医療照会がなされることがあります。
医療照会がなされた場合、調査事務所は、照会結果を参考に判断することとなります。
医療機関によっては、この照会に対する回答が遅くなることがあります。
そうすると、回答を待っている間は、審査が保留となってしまい、結果が出るのが遅くなってしまいます。
⑵ 保険会社から自賠責調査事務所への書類の提出が遅い
認定申請をするにあたり、保険会社(自賠責保険会社含む)を通じて、資料を提出します。
この際、保険会社が自賠責調査事務所に資料を送るのに時間がかかることがあります。
そうすると、当然のことながら、書類提出が遅れるので、審査結果が出るのに時間がかかる、ということになります。
後遺障害等級と後遺障害慰謝料
1 後遺障害等級によって後遺障害慰謝料が大きく変わる
治療しても症状改善が見込まれない場合、自賠責保険会社に対して後遺症障害の申請を行うことができます。
自賠責保険では、後遺障害の部位・程度等に応じて、最も重い1級から14級まで等級が用意されており、一般的には、等級認定がなされると後遺障害慰謝料が損害として認められます。
重い等級であるほど、後遺障害による精神的苦痛は大きいと考え、後遺障害慰謝料が高くなる傾向があります。
2 後遺障害慰謝料の目安
同じ等級でも後遺障害慰謝料に大きな差異が生じると、公平性の点で好ましくありません。
そこで、等級ごとに後遺障害慰謝料の目安とされる金額があり、実務でも、後遺障害慰謝料を算出するときの参考にされることが多いです。
例えば、訴訟で使われることの多い「損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」。)では、後遺障害1級2800万円、2級2370万円、3級1990万円、4級1670万円、5級1400万円、6級1180万円、7級1000万円、8級830万円、9級690万円、10級550万円、11級420万円、12級290万円、13級180万円、14級110万円が目安額とされています。
3 後遺障害慰謝料が目安を上回ることがある一例
⑴ 逸失利益の算定が困難または不可能である点を考慮される場合
後遺障害がある場合、労働能力の減退により将来の収入減が想定されます。
これを「逸失利益」といい、損害として賠償請求することができます。
この点、醜状痕や歯牙欠損なども等級認定の対象となるのですが、モデルなどの職業でなければ、その後遺障害が労働能力に影響を及ぼすことは基本的に考えにくいです。
このように、後遺障害はあるものの逸失利益の算定が困難または算定が不可能である場合、後遺障害慰謝料で考慮し、目安を上回る金額が認定されることがあります。
⑵ 後遺障害の症状や仕事内容等が考慮される場合
例えば、ピアニストが指に関する後遺障害がある場合など、仕事内容に直結することを考慮され、目安を上回る金額が認定されることがあります。
⑶ 将来の手術費の算定が困難又は不可能な場合
例えば、股関節機能障害の後遺障害があり、将来的に人工関節の手術が必要となる可能性があるものの、手術の時期や費用が不明であるなど、将来の手術費の算定が困難である場合、後遺障害慰謝料で考慮し、目安を上回る金額が認定されることがあります。
4 近親者慰謝料
後遺障害の内容によっては、被害者の介護や見守りなどが必要となる場合があります。
介護や見守りなどを行う近親者には大きな精神的負担がかかるため、近親者固有の慰謝料が認められることがあります。
とりわけ、1級、2級の等級認定がなされた場合には、被害者が要介護状態にあることは明らかであるため、近親者固有の慰謝料が認められやすいといえます。
5 慰謝料に関するお悩みは当法人までご相談を
適切な等級認定を獲得できなければ、適切な後遺障害慰謝料を獲得できません。
当法人では、これまで数多くの案件で等級認定を獲得してきた実績とノウハウがあります。
後遺障害の申請をお考えの場合や後遺障害について気になる点がある場合には、まずは弁護士法人心 津法律事務所までご連絡ください。
適切な後遺障害の損害賠償を得るために
1 適切な等級認定を獲得すること
後遺障害が残ると、精神的苦痛だけでなく、後遺症により収入の減少、将来の治療費や介護に要する費用など様々な損害が生じます。
また、その損害額は多額になることが少なくありません。
しかし、これらの損害について、必ずしも全額賠償されるとは限りません。
実務上、後遺障害によって生じた損害について、どこまでの範囲を認めるか、その金額をどの程度とするかは、獲得した等級の程度等に大きく左右されます。
したがって、適切な等級認定を獲得することが適切な後遺障害の賠償の獲得において大切です。
以下、そのためのポイントについてご説明します。
2 専門科で必要な検査を受けること
後遺障害の審査では必要とされる検査があり、症状が残っていたとしても検査結果がなければ等級認定されないことがあります。
例えば、耳鳴りの場合には、ピッチマッチ検査及びラウドネスバランス検査が必要とされ、その検査結果から等級判断されます。
また、高次脳機能障害であれば、脳外傷であることを示すために、受傷当初の脳のMRI検査の所見が重要とされています。
このように、どのような検査が必要とされるか早い段階で把握し、その検査を受けておくことが大切です。
3 診断書等に症状を適切に書いてもらう
後遺障害の審査では、医師が作成する後遺障害診断書等の内容を重視します。
被害者の症状が診断書に適切に反映されていなければ、適切な認定結果は得られません。
一旦、不利な認定がなされてしまうと、後に挽回することは容易ではありません。
したがって、後遺障害診断書等の作成を依頼する場合には、事前に、医師に症状をしっかりと伝えておく必要があります。
仮に、症状の記載が漏れていたり、誤解を招く記載がされている場合には、医師に対して追記等していただくよう働きかける必要があります。
4 被害者請求
後遺障害の申請方法には、任意保険会社が申請手続を行う「事前認定」という方法と、被害者側が申請手続を行う「被害者請求」という方法があります。
事前認定の方法は手間がかからないというメリットがありますが、積極的に有利な資料を収集するとは限らないため、適切な等級認定を獲得するという観点からは、被害者請求の方法によるべきです。
5 早い段階で交通事故に精通した弁護士に依頼する
先ほど述べた、どのような検査が必要かという点だけでなく、通院の仕方や医師に症状を伝えるためにどのような点に注意すればよいか、など事故当初から把握しておくべき点は多いです。
したがって、事故後早い段階で交通事故に精通した弁護士に依頼することが大切です。
6 当法人にご連絡ください
当法人では、後遺障害チームを作り、これまで数多くの案件で適切な等級認定を獲得してきた実績があります。
加えて、内部研修を頻繁に行っており、適切な賠償額を獲得するために日々研鑽しています。
後遺障害についてお悩みの場合には、お気軽に当法人にご連絡ください。
後遺障害の認定結果に不服がある場合
1 不服申し立ての方法
後遺障害認定の結果に不服がある場合、①自賠責保険に対する異議申立て、②自賠責保険・共済 紛争処理機構(以下「紛争処理機構」といいます。)への申請、及び③訴訟提起の3つが方法として考えられます。
以下、各手続の概要を説明いたします。
2 異議申立て
自賠責保険会社の認定結果について、再考を求める手続です。
自賠責保険会社に対して異議申立書と添付資料を提出します。
異議申立書のみでも手続き上は問題ありませんが、新たな医学的証拠がないと初回認定と同様の結論になる可能性が高いため、通常は、医師の意見書やカルテなど有利な証拠の追加提出を検討します。
異議申立てに回数制限はなく、何度でも申し立てることができます。
また、自賠責保険への異議申立てには自賠責保険の時効中断効があります。
したがって、異議申立ての結果、非該当であった場合、支払不能通知が到達した日の翌日から3年をカウントし直すことになります。
3 紛争処理機構への申請
弁護士、医師、及び学識経験者で構成する紛争処理委員が、合議制で自賠責保険会社・共済組合が行った等級認定の判断の妥当性について審査する手続です。
紛争処理申請書に、紛争の問題点、交渉の経過の概要及び請求の内容などを記入し、紛争処理機構に提出します。
紛争処理機構が審査対象とするのは、あくまで自賠責保険会社・共済組合行った判断の是非であるから、自賠責保険会社等の審査の際に提出しなかった新たな証拠を提出しても、審査対象になりません。
したがって、新たな証拠の提出を予定する場合には、異議申立て若しくは後述の訴訟提起を検討することになります。
紛争処理機構への申請は、1回しかできないため、異議申立てでは功を奏しない場合に、紛争処理機構へ申請する場合が一般的です。
後遺障害について紛争処理機構へ申請する場合、症状固定から3年で消滅時効となります。
異議申立てと異なり、時効中断効がありませんので、注意が必要です。
4 訴訟提起
公平中立な裁判官に後遺障害等級認定について判断を仰ぐ手続きです。
訴状作成し、証拠と一緒に裁判所に提出します。
訴訟は、異議申立てや紛争処理機構と異なり、書面審査でないため、十分な審理が期待できます。
他方、訴訟手続は長期化することが多く、1年以上かかることも珍しくありません。
また、訴訟費用等の支出も伴います。
5 後遺障害の手続選択については弁護士にご相談ください
どの手続を選択すべきか悩まれることも多いかと思います。
問題となる後遺障害の程度、等級認定の見込み、手続きに要する時間や費用など、様々な点を総合考慮して判断しなければならず、どの手続きが適切かは事案ごとに異なります。
当法人では、後遺障害案件について適切な等級認定を数多く獲得してきました。
後遺障害で少しでもお悩みの場合には、お気軽に、弁護士法人心 津法律事務所までご連絡ください。
後遺障害が認定されなかった場合の対応
1 認定されなかった場合の対応
自賠責保険で後遺障害認定がされなかった場合の対応としては、①自賠責保険に異議申立てをする方法、②紛争処理機構に申立てをする方法、③訴訟提起をして裁判所に後遺障害等級を認定してもらう方法があります。
ここでは、どのような場合にどの方法で対応することが多いのかということについて、簡単にご説明いたします。
2 多く行われている方法
等級を争う手続きのうち、より行われることが多い方法は①自賠責保険への異議申立てになります。
異議申立てをする際には、相手方の自賠責保険に異議申立書や等級認定が妥当だと主張するための新しい証拠を提出することになります。
この異議申立てには回数制限はありませんし、申立てに費用もかかりませんので、大きなリスクを負うことなく手続きを行うことができます。
3 自賠責保険の判断に納得いかない場合
自賠責保険に対する異議申立てをしたけれども、どうしても判断に納得がいかない場合には、②紛争処理機構への申立てをすることが多いです。
紛争処理機構とは、法律に基づいて設置された裁判外紛争処理機関のことをいいます。
自賠責保険とは別の組織ですので、異議申立ての結果に納得がいかない場合には、紛争処理機構に申立てをして改めて等級認定について判断してもらうことになります。
紛争処理機構への申立てについても費用はかかりませんが、自賠責保険への異議申立てと異なり、1度しか行うことができないという点に注意が必要です。
4 裁判所による認定
最後に、もうひとつの方法としてあるのが③訴訟提起です。
裁判を起こし、裁判所によって後遺障害等級の認定をしてもらう方法になります。
裁判所では、自賠責保険と紛争処理機構の認定結果に縛られることなく、等級の認定をすることができます。
なお、訴訟提起をすると解決まで少なくとも半年から1年はかかるため、まずは自賠責保険への異議申立てや紛争処理機構への申立てを経て、それでも等級に納得がいかない場合に、訴訟提起をすることが多いです。
ただし、裁判所は自賠責保険や紛争処理機構の判断に拘束されないとはいえ、その判断を重視する傾向がありますので、訴訟によって等級がこちらの主張どおりに変更されることは少ないのが現状です。
5 適切な後遺障害認定を受けるために
適切な後遺障害認定を受けるためには、まずは、初回の後遺障害申請が大切です。
初回で適切な後遺障害認定がされないと、①②③によって等級を覆すことは大変です。
当法人には、交通事故・後遺障害に強い弁護士が多数在籍しております。
後遺障害に関する相談は、原則無料で対応しております。
後遺障害でお困りの方は、ぜひ一度、当法人までお問い合わせください。
後遺障害の申請で気を付けるべきこと
1 通院を継続すること
後遺障害等級の審査では、症状の内容や通院状況なども考慮されます。
症状があっても通院していなければ、症状が残っていないなどと誤解され、適切な等級を獲得することができなくなります。
したがって、症状があれば、時間を見つけて通院を継続しましょう。
2 必要な検査を受けること
後遺障害の審査では、検査結果が必須であったり、重視されるものがあったりします。
例えば、膝の動揺関節であれば、ストレスレントゲンテストの結果が必須であり、また、高次脳機能障害であれば脳外傷を示すために頭部MRIの検査結果が重視されます。
後遺障害の審査において、どのような検査が必要となるかを早い段階で確認し、必ず検査を受けておきましょう。
3 症状固定時期の判断は慎重にすること
後遺障害等級の審査では、症状固定日における症状が審査対象となります。
症状固定とは、治療効果が期待しえない状態であるから、治療による症状改善が未だ期待できる場合には症状固定時期に至っておらず、後遺障害の申請をすべきタイミングではありません。
仮に、症状固定時期でないにもかかわらず、後遺障害の申請をすると治療による症状改善が期待できることなどを理由に非該当とされる可能性があります。
保険会社は被害者に対して後遺障害の申請をするよう促すことが少なくありませんが、被害者側としては、医師の見解や症状の推移などを踏まえ、症状固定時期に至っているか慎重に判断しましょう。
4 後遺障害診断書に症状が適切に反映されていること
症状固定時期に至ると、主治医が後遺障害診断書を作成します。
後遺障害診断書には症状固定日における症状が記載されるため、後遺障害等級の審査において非常に重要な資料です。
仮に、後遺障害診断書に残存する症状が漏れるなど、症状が適切に反映されていなければ、当然、適切な等級を獲得することはできません。
このように記載に不備があれば、医師に対して修正等を求めなければなりません。
しかし、医師が修正等に応じないこともあるので、少なくとも後遺障害診断書の作成前段階で、医師に症状を正確に伝えておきましょう。
5 被害者請求の方法で申請をすること
後遺障害申請手続きにおいて、保険会社が申請する事前認定手続の方法と、被害者側が申請する被害者請求手続の方法があります。
後遺障害申請手続きでは、等級認定のための有利資料がとても重要であるため、保険会社任せにするのでなく、原則として、被害者請求手続きの方法で進めるようにしましょう。
6 交通事故に精通した弁護士に依頼すること
適切な等級認定を獲得するには、等級認定基準に対する理解とノウハウが必要です。
ホームページなどから、後遺障害等級認定の獲得実績を確認することをおすすめします。
7 当法人にご相談ください
当法人では、損害保険料率算出機構の元職員や、交通事故案件を集中的に対応する弁護士らで構成する交通事故チームを作り、適切な等級認定に向けて徹底して取り組んでいます。
後遺障害について気になることがあれば、是非、当法人にご相談ください。
後遺障害を得意とする弁護士の選び方
1 後遺障害を得意とする弁護士を選ぶことの重要性
後遺障害等級認定の結果により、賠償金額は大きく異なります。
重度の後遺障害であれば、等級がひとつ異なるだけで1000万円以上もの差が生じることがありますし、最も低い等級である14級と非該当の場合との間でも、100万円以上もの差が生じることは少なくありません。
このように適切な賠償金額を獲得するためには、後遺障害を得意とする弁護士に依頼して、適切な等級認定を獲得していく必要があります。
では、後遺障害を得意とする弁護士をどのように選べばよいのでしょうか。
2 解決実績の確認
後遺障害等級認定の基準は部位や程度等により多岐に分かれており、とても複雑です。
また、基準自体もあいまいなものがあり、実務の運用を踏まえてノウハウを蓄積しておかないと太刀打ちできないものもあります。
そのため、数多くの解決実績があり、とりわけ問題となる部位の実績が豊富であるか、という点をまずは確認しましょう。
3 研鑽を積んでいること
後遺障害の等級認定基準は、複雑であることに加え、運用が変更されることもあります。
例えば、東京高裁28年1月20日判決は、既存の後遺障害がある方が、新しい事故で後遺障害を負った場合の加重の解釈が争われた事案があり、従来の自賠責保険の運用と異なる解釈を示しました。
その結果、平成28年2月4日以後に発生した交通事故からは、裁判所が採用した新たな解釈が適用されるようになりました。
このように、後遺障害の等級認定基準の最新の運用や裁判例の動向を正確に把握しておかなければ、適な等級認定を獲得することはできません。
後遺障害に関して日々研鑽を積んでいる弁護士を選ぶことも大事なポイントです。
4 しっかりとコミュニケーションをとれること
自賠責保険における後遺障害の審査は原則として書面にて行われます。
提出書面に不備があってはならないのはもちろん、依頼者の症状が誤解される内容であってもいけません。
そのため、申請書類の収集・作成では、依頼者と密に連携して進める必要があります。
とりわけ、高次脳機能障害の事案では、事故前後の状態や変化などが考慮されるため、被害者のご家族との連携が重要となります。
したがって、依頼者やご家族とのコミュニケーションがしっかりととれる弁護士であることも大切です。
5 ホームページの確認と相談の申し込み
解決実績はホームページに掲載していることが多いです。
そのため、まずはホームページで交通事故の取扱件数や解決実績を確認しましょう。
他方、研鑽の程度やコミュニケーションをとれる弁護士か否かは、実際に弁護士と話しをしてみないとなかなか分かりません。
したがって、解決実績を確認した後は、実際に弁護士に相談を申し込み、安心して任せられるかどうかを判断されるとよいかと思います。
6 当法人にご相談ください
当法人には、損害保険料率算出機構の元職員や交通事故を集中的に取り扱う弁護士らで作る交通事故チームがあり、数多くの事案を解決してきた実績があります。
また、研修も頻繁に行い、日々研鑽に努めています。
後遺障害でお困りの場合には、お気軽に当法人にご相談ください。
後遺障害と家屋改造費
1 交通事故における家屋改造費
後遺障害が残った場合、従前の住居では生活が困難となることがあります。
例えば、居宅内の移動のために、手すりやスロープを付けたり、重度の後遺障害の場合には風呂場やトイレを障害者用に改造する必要が生じることがあります。
このような自宅改造費は、どのような場合に損害として認められるのでしょうか。
2 家屋改造費についての考え方
家屋の改造といっても、どのような後遺症が残り、どのような改造が必要となるのかは個別の事案により異なります。
そこで、実務では、被害者の受傷の内容、後遺症の程度・内容を具体的に検討して、家屋改造の必要性が認められる場合に、相当額を認める傾向にあるといえます。
また、この家屋改造費には、事案によっては建物の新築、土地の取得も含まれることもあります。
例えば、現在の住居が賃貸であるため改造が困難であったり、改造するよりも新築した方が経済的である場合には、改造でなく新築の方で検討することになります。
なお、事案によっては、家屋改造費に加え、転居についやした費用や、転居先との家賃差額分が損害として認められることもあります。
3 家屋改造費が認められた事例
神戸地裁平成27年9月3日判決は、胸髄損傷による両下肢完全麻痺等の障害が残り、1級1号の等級認定がなされた重度後遺障害の事案であり、エレベーターの設置費用、スロープの設置費用、将来のエレベーターの本体交換費用、そのメンテナンス費用などを認めました。
また、重度後遺障害事案でなくとも、家屋改造費が認められた事例はあります。
例えば、神戸地裁令和1年9月12日判決は、左大腿部転子部骨折による右股関節機能障害で12級7号の等級認定がなされた事案について、特殊寝台、手すり等の使用を余儀なくされることはやむを得ないとして、住居改修費用、特殊寝台貸与費用、手すり貸与費用などを認めました。
4 家族の利益享受による調整について
エレベーターなどを設置した場合、被害者のみならず、その家族も利用することが考えられるため、家族にとっても利便性が向上しており、利益を得ているといえます。
このように事故によって家族が利益を得ている点を捉えて、改造費を減額した裁判例がありますが、他方で、反射的な利益に過ぎないとして減額を否定した裁判例もあり、事案によりますが、判断は分かれています。
5 家屋改造をお考えの方は弁護士にご相談を
改造の必要性等については、見積書、明細書のほか、改造箇所の写真、障害者仕様とする必要性に関する医師の意見書などを提出して、しっかり主張立証する必要があります。
金額も大きくなりやすい項目であるため、適切な賠償金額を獲得するためにも、家屋改造をお考えの場合には、一度、弁護士にご相談されることをおすすめします。
小児の高次脳機能障害について
1 高次脳機能障害の症状推移
交通事故で脳に損傷を受けると、高次脳機能障害という障害が残ることがあります。
典型的な症状は、認知障害、行動障害、人格変化などです。
一般的には、受傷初期がもっとも症状が強くあらわれ、時間の経過とともに症状が軽減する場合が多いと考えられています。
したがって、後遺障害の判定は、症状回復の推移の確認が必要であり、症状固定までにはある程度の期間を要するケースが多いです。
2 小児の場合の特徴
成人の場合、一般的には、高次脳機能障害において目立った回復が見られなくなって症状固定となるのは、受傷から1年以上を経てからとするのが多いかと思います。
しかし、小児の場合には、脳の成長や精神機能の発達が成人と比べて大きく、1年以上経過したのちでも、高次脳機能障害の症状が回復していくこともあります。
このような特徴から、小児の高次脳機能障害の場合には、事案にもよりますが、成人の場合と比べてより長期間、経過観察していく場合が多いといえます。
3 どのタイミングで症状固定とすべきか
小児の場合でも、要介護状態といった重度障害の事案では、受傷から1年程度でも後遺障害の適切な判定は可能といえるので、成人と同様に考えてよいといえます。
それ以外の場合には、幼稚園や小学校での生活への適応がどの程度困難であるのかなどを観察していく必要があります。
このような経過観察を通して、成人後の社会生活や就労能力をより正確に判断することが可能となるからです。
事案ごとにもよりますが、例えば、乳児の場合には、幼稚園などで集団生活を開始する時期まで、幼児の場合には就学期まで経過観察する場合もあるかと思います。
4 弁護士にご相談ください
小児の高次脳機能障害は症状固定時期について争いになることが少なくありません。
その他にも、逸失利益の評価や将来の治療費などの点でも争いになることがあります。
先ほど述べたとおり、小児の場合には、後遺障害認定まで相当な期間を要し、その後には賠償請求も行っていかなければなりません。
ご家族のご負担もかなりのものとなりますので、一度弁護士へのご相談をおすすめします。
当法人では、経験豊富な弁護士・スタッフが誠心誠意対応させていただきます。
交通事故の後遺障害申請でお困りの方へ
1 症状が残った場合には後遺障害申請することができる
治療しても症状が改善せず残ってしまった場合、残った症状が後遺障害にあたるかという問題が生じます。
後遺障害にあたれば、後遺障害に関する損害についても賠償請求することができます。
多くの事案では、後遺障害にあたるか否かの判断について自賠責保険の認定結果を尊重します。
したがって、後遺障害に関する損害について適切な補償を受けるためには、自賠責保険に対する後遺障害申請手続きで適切な認定を獲得しなければなりません。
2 後遺障害の申請方法は二つあります
⑴ 事前認定
事前認定は、「保険会社」が資料収集等して申請する方法です。
被害者の負担が小さい反面、必要かつ十分な資料収集が行われているとは限らないという側面もあります。
⑵ 被害者請求
被害者請求は、「被害者」やその代理人である「弁護士」が資料収集等して申請する方法です。
事前認定と比較すれば資料収集の負担が大きいですが、納得できるまで資料収集して申請することができます。
3 事前認定ではなく被害者請求の方法によるべき
自賠責保険の後遺障害等級認定は原則として書面審査で行われます。
提出する書面の内容が認定の可否に決定的な影響を与えるため、申請前の資料収集が極めて重要です。
また、弁護士にご依頼されれば、資料収集の負担も軽減させることができます。
したがって、適切な等級認定を獲得するためには、「弁護士」に依頼して、「被害者請求」による方法が最善であるといえます。
4 交通事故に精通した弁護士にご相談すべき
後遺障害の等級認定基準やその解釈は複雑であり、また、対象となる後遺障害ごとに必要な検査内容等も理解しておかなければ、適切な等級認定を獲得することはできません。
後遺障害の案件を数多く取り扱った実績があるなど、交通事故に精通した弁護士にご依頼されるべきであると思います。
5 弁護士法人心にご連絡ください
当法人では、適切な等級認定を獲得するために、損害保険料率算出機構の元OBを含む後遺障害チームを作り、数多くの後遺障害事案を取り扱っており実績もあります。
後遺障害のことで少しでも気になることがあれば、まずは当法人までご連絡ください。
後遺障害等級認定における併合
1 併合とは
後遺障害申請において複数の等級認定がなされることがあります。
そのうち、系列を異にする身体障害が2つ以上ある場合に、重い方の身体障害の等級によるか、又はその重い方の等級を1ないし3級繰り上げるなどして、一つの後遺障害等級とすることを「併合」といいます。
そして、併合の場合に繰り上げる等級は、次のとおり、系列を異にする身体障害の各等級により異なります。
①14級が2つ以上の場合、14級
②13級以上が2つ以上の場合、重い方の後遺障害の等級を1級繰り上げ
③8級以上が2つ以上の場合、重い方の後遺障害の等級を2級繰り上げ
④5級以上が2つ以上の場合、重い方の後遺障害の等級を3級繰り上げ
2 併合の具体例
例えば、足関節の機能障害により12級7号、3歯に歯科補綴を加えたことで14級2号の認定がなされた場合には、系列を異にする14級以上の身体障害が2つあるので、重い方の等級によることとなり、併合12級となります。
また、外貌に著しい醜状を残し7級12号、1下肢を5センチメートル短縮して8級5号の認定がなされた場合には、系列を異にする8級以上の身体障害が2つ以上あるので、重い方の等級を2つ繰り上げ、併合5級になります。
3 異なる取り扱いがなされる場合
⑴ 障害の序列を乱す場合
併合の場合における等級認定の取り扱いは、原則として、1のとおり行われます。
しかし、障害の序列を乱す場合に障害の序列に従って等級を定めます。
例えば、上肢を手関節以上で失い5級4号、かつ、他の上肢を肘関節以上で失い4級4号の等級認定がされた場合、系列を異にする5級以上の身体障害が2つ以上あるので、一見すると、重い方の等級を3級繰り上げて併合1級になるように思われます。
しかし、1級3号には、「両上肢をひじ関節以上で失ったもの」という基準が設けられています。
先ほどの事例で併合1級を認めると、両上肢をひじ関節以上で失った場合でないのに1級になってしまい、障害等級の序列を乱すことになります。
このような場合、障害の序列に従って等級を定めることになり、1級3号の程度に達しないとして、併合2級となります。
⑵ 組み合わせ等級が定められている場合
組み合わせ等級が定められている場合、そもそも併合の方法を用いません。
例えば、1下肢をひざ関節以上で失い4級5号、かつ、他の下肢をひざ関節で失って同じく4級5号の等級認定がなされた場合、系列を異にする5級以上の身体障害が2つ以上あるので、重い方の等級を3等級繰り上げて併合1級になるように思われます。
しかし、1級5号には「両下肢をひざ関節以上で失ったもの」という基準がすでにあり、等級表上、組み合わせた等級として定められています。
このような組み合わせ等級が定められている場合は、等級表上の等級により認定します。
したがって、先ほどの事例では、1級5号となります。
⑶ 1つの身体障害から通常派生する関係にある場合
1つの身体障害に他の身体障害が通常派生する関係にある場合、いずれか上位の等級をその障害の等級とします。
例えば、1上肢に偽関節を残すと8級8号となり、その箇所に頑固な神経症状が残れば12級13号となり、系列を異にする12級以上の身体障害が2つあることになり、重い方の等級を1等級繰り上げて併合7級になるようにも思われます。
しかし、偽関節を残すと通常頑固な神経症状も派生して残存するという関係にあるので、上位である8級8号を等級とします。
4 後遺障害でお悩みの方は弁護士にご相談ください
後遺障害の等級表は複雑ではありますが、適正な等級認定をとるためには、併合などの等級認定における取り扱いなどの理解は当然の前提として、各認定基準の理解にも精通していなければなりません。
当法人は、後遺障害チームを作り、交通事故による後遺障害を集中的に対応し、様々な事案において適正な等級認定を受けられるように取り組んでいます。
後遺障害でお困りの場合には、ぜひ当法人にご相談ください。
交通事故と鼻の後遺障害
1 交通事故による鼻の受傷
交通事故で鼻を受傷したことで、鼻を失ったり、嗅覚に異常が生じたりすることがあります。
それら症状が治療によっても残った場合には後遺障害の問題となります。
後遺障害の有無・程度は、裁判にて決することもありますが、自賠責保険の等級認定に基づいて賠償交渉が進められることが多いといえます。
そこで、自賠責保険における鼻の後遺障害の取り扱いについて、お話します。
2 鼻の後遺障害等級認定基準
自賠責保険では、鼻の後遺障害について、第9級5号にて「鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの」という認定基準を設けています。
「鼻を欠損」とは、鼻軟骨部の全部又は大部分の欠損をいいます。
また、「機能に著しい障害を残すもの」とは、鼻呼吸困難又は嗅覚脱失をいいます。
したがって、例えば、鼻軟骨部の全部を欠損して、嗅覚を脱失した場合には、第9級5号に該当します。
「鼻を欠損」には該当しなくとも嗅覚脱失の機能障害が生ずる場合もあります。
この場合は、その障害の程度に応じて、等級を定めることになります。
例えば、嗅覚脱失又は鼻呼吸困難が存するものについては、第12級相当とし、嗅覚の減退のみが存するものについては、第14級相当となります。
3 鼻の欠損と外貌醜状との関係
鼻を欠損した場合には、外貌醜状の後遺障害も問題となる場合があります。
「外貌に著しい醜状を残すもの」であれば第7級12号、「外貌に相当程度の醜状を残すもの」であれば第9級16号、「外貌に醜状を残すもの」であれば12級14号に該当します。
鼻の欠損の後遺障害と、外貌醜状の後遺障害との関係については、併合せずに、いずれか上位の等級認定を行うことになります。
したがって、外貌醜状で第7級12号、鼻の欠損について第9級5号の場合には、高い方である第7級12号の認定がなされます。
4 逸失利益について
後遺障害の等級認定がされた場合、逸失利益の主張が考えられます。
この点、保険会社からは、嗅覚脱失や嗅覚の減退により将来の収入の減少がない、将来の不利益はない、などと争われることがあります。
この場合には、後遺障害の内容・程度、職業、事故前後の就業状況等から、将来的に収入が減少するおそれがあることや、昇級・昇進、転職の際に不利益を受けるおそれがあることを具体的に主張立証する必要があります。
例えば、事故当時に調理師である場合では、嗅覚脱失・減退は将来にわたり業務に直接的な影響を及ぼすため、逸失利益は認められやすいと考えられます。
5 弁護士に相談
鼻については、適切な後遺障害等級はもちろん、適切な賠償を獲得するためにも、しっかりと準備して臨む必要があります。
交通事故で鼻を受傷した場合の後遺障害について、当法人にご相談ください。
後遺障害について弁護士に依頼する理由
1 後遺障害申請の2つの方法
後遺障害の等級認定手続きには、保険会社が手続きを主導する「事前認定」と、被害者や弁護士で手続きを行う「被害者請求」の2つがあります。
通常、保険会社は、被害者に対して「事前認定」の方法を提案してきます。
しかし、以下の各制度のメリット・デメリットに照らせば、適切な等級認定の獲得のためには、「被害者請求」によるべきであるといえます。
2 事前認定のメリット・デメリット
⑴ メリット
保険会社に資料の収集などをすべて委ねるため、被害者にとって手間があまりかからないというメリットがあります。
⑵ デメリット
等級認定に向けて、保険会社が十分な立証資料を取り付けるとは限りません。
保険会社は、あくまで加害者側の立場にあり、被害者による適切な等級認定の獲得に対して強い動機があるとはいえないからです。
また、事前認定で等級認定の判断がなされたとしても、自賠責保険から被害者に対して保険金は支払われません。
示談や判決により事案解決するまでは、原則として賠償金は払われません。
3 被害者請求のメリット・デメリット
⑴ メリット
被害者や弁護士の方で立証資料を取り付けるため、しっかりと申請に備えることができます。
また、等級認定された場合には、自賠責保険から等級に応じて算出された保険金が支払われます。
後遺症により通院継続している場合や、減収が生じている場合には、自賠責保険金を治療費や生活費に充てることができます。
事案解決まで数年単位を要するものもあるため、損害の一部を先に回収できることのメリットは非常に大きいといえます。
⑵ デメリット
被害者側で資料の取り付けなどを行う必要があります。
事前認定と比較すれば手間がかかるかもしれませんが、弁護士に依頼すれば資料の取り付けについてもサポートできるので、このデメリットはそこまで気にする必要はないかと思います。
4 被害者請求の方法を弁護士に依頼すべき理由
後遺症は将来的に症状が残るものであり、それによる精神的・肉体的苦痛や、経済的な損失は図りしれません。
そのため、後遺症に対して適切な補償がなされるべき必要性は高いといえます。
そして、交通事故に精通した弁護士であれば、想定される等級の認定基準を熟知し、認定基準に照らして必要となる立証資料をしっかりと取り付けることができます。
したがって、適切な等級認定の獲得のためには、弁護士に依頼して被害者請求による方法で進めるべきです。