言語機能障害
症状例:声が出ない・出しにくい
言語機能障害は,次の表のとおり,1級2号から10級3号までの等級が認められます。
1級2号 | そしゃく及び言語の機能を廃したもの |
---|---|
3級2号 | そしゃく又は言語の機能を廃したもの(嚥下の機能を廃したもの) |
4級2号 | そしゃく及び言語の機能に著しい障害を残すもの |
6級2号 | そしゃく又は言語の機能に著しい障害を残すもの(嚥下の機能に著しい障害を残すもの) |
9級6号 | そしゃく及び言語の機能に障害を残すもの |
10級3号 | そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの(嚥下の機能に障害を残すもの) |
言語の機能障害には,「言語の機能を廃したもの」,「言語の機能に著しい障害を残すもの」,「言語の機能に障害を残すもの」が当たります。
言語の機能を廃したもの
「言語の機能を廃したもの」とは,口唇音,歯舌音,口蓋音,喉頭音の4種の語音のうち,3種以上の発音不能のものをいいます。
言語の機能に著しい障害を残すもの
「言語の機能に著しい障害を残すもの」とは,4種の語音ののうち2種の発音不能のもの又は綴音機能に障害があるため,言語のみを用いては意思を疎通することができないものをいいます。
言語の機能に障害を残すもの
「言語の機能に障害を残すもの」とは,4種の語音のうち,1種の発音不能のものをいいます。
かすれ声(嗄声)
特殊な言語障害として,声帯麻痺などによる発生障害,いわゆる「かすれ声」があります。
このかすれ声については,早見表に規定がありません。
そこで,政令別表第二備考6を適用して,別表第二第12級相当として取り扱います。
そしゃく機能と言語機能
言語の機能障害,特に構音機能障害とそしゃくの機能障害とは,密接な関係があり,一方に障害が起きれば,ほとんどといっていいほど他方にも障害が起こります。
言語機能障害
1 言語機能障害とは
交通事故によって口内に傷害を負い,後遺障害が残ってしまうことがあります。
口の後遺障害には、「そしゃく機能の障害」、「言語機能の障害」、「歯牙障害」があります。
言語機能の障害は発音機能に関する障害です。
2 後遺障害認定基準
⑴ 該当する後遺障害等級
言語機能障害となった場合,該当しうる等級は,10級3号,9級6号,6級2号,4級2号,3級2号,1級2号の6つです。
10級3号は,「そしゃくまたは言語のいずれかの機能に障害を残すもの」,9級6号は「そしゃくと言語の両方の機能に障害を残すもの」,6級2号は「そしゃくまたは言語のいずれかの機能に著しい障害を残すもの」,4級2号は「そしゃくと言語の両方の機能に著しい障害を残すもの」,3級2号は「そしゃくまたは言語のいずれかの機能を廃したもの」,1級2号は「そしゃくと言語の両方の機能を廃したもの」となっています。
これらの違いは,発音できる語音によって変わってきます。
⑵ 認定基準
人間は,咽頭にある声帯を呼気で振動させて声を発生させ,さらに口腔の形を変化させることによって語音に形成し(これを構音といいます。),それを一定の順序に連結する(これを綴音(ていおん)といいます。)ことで言語を発音します。
語音は母音(あいうえお)と、それ以外の子音とに区別され,子音はさらに口唇音(ま行音、ぱ行音、ば行音、わ行音、ふ)・歯舌音(な行音、た行音、だ行音、ら行音、さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ)・口蓋音(か行音、が行音、や行音、ひ、にゅ、ぎゅ、ん)・咽頭音(は行音)の4種類に区別されます。
そして,「言語の機能に障害を残すもの」(10級3号,9級6号)とは,この4種類の語音のうち,いずれか1種類が発音不能となったもの,「言語の機能に著しい障害を残すもの」(6級2号,4級2号)とは4種類の語音のうち2種類が発音不能又は綴音機能に障害があるため言語のみを用いては意思を疎通することができないもの,「言語の機能を廃したもの」(3級2号,1級2号)とは4種類の語音のうち3種類以上が発音不能となったものをいいます。
3 言語機能障害による後遺障害で請求できる金額
⑴ 後遺障害慰謝料
後遺障害が認定された場合,その認定された等級に応じて後遺障害慰謝料が認められます。
赤本基準で算出した場合,10級で550万円,9級で690万円,6級で1180万円,4級で1670万円,3級で1990万円,1級で2800万円となります。
⑵ 後遺障害逸失利益
交通事故で後遺障害が残ってしまうと,事故以前と同じようには働けなくなってしまうことがあります。
その結果得られなくなってしまった将来の収入につき,損害として加害者に請求することができます。
この損害を後遺障害逸失利益といいます。
後遺障害によってどの程度労働能力を失ったか(労働能力喪失率)は,原則として後遺障害の等級に応じて定められています。
例えば,言語機能障害の各等級の場合,10級の場合の労働能力喪失率は27%,9級は35%,6級は67%,4級は92%,3級と1級は100%となっています。
4 言語機能障害でお悩みの方は弁護士法人心へ
言語機能障害は,今後の生活に多大な影響がある後遺障害です。
だからこそ,せめて相手方保険会社から正当な金額の賠償を受けることが重要となります
もっとも,言語機能障害になってしまった場合,相手方保険会社との示談交渉も,非常に大変なことと思います。
弁護士法人心には,交通事故・後遺障害を集中的に扱う弁護士が多数在籍しており,多数の案件を解決してきました。
言語機能障害でお悩みの方は,弁護士法人心へご相談ください。