後遺障害14級9号(局部に神経症状を残すもの)について|後遺障害・後遺症でお困りの方は弁護士法人心まで

後遺障害14級9号(局部に神経症状を残すもの)について

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年7月21日

1 はじめに

事務所に事故の相談をされた方のけがについて、その多くは、車両同士の衝突・追突事故によるむちうち(一般的な診断名は頸椎捻挫)と腰椎捻挫となります。

治療を続けることで、数か月から半年程度で治癒することが多いのですが、中には、治療を続けても痛みやしびれが残存してしまうものがあります。

事故によるけがのうち、治療を継続しても治らず、症状が残存してしまったものが、後遺障害認定の対象となります。

2 後遺障害認定のための2つの手順

後遺障害認定のための手順として、まずは後遺障害診断書を医師に作成してもらう必要があります。

その後の手順として、次の2つの手順があります。

一つは、後遺障害診断書のみを事故の相手方が契約している保険会社に提出し、同社を通じて後遺障害の認定の手続をしてもらう方法(事前認定)です。

二つ目は、被害者自身が後遺障害診断書以外の必要書類を作成・準備して、被害者自ら申請する方法(被害者請求)です。

この2つの方法を比べると、事前認定は、後遺障害診断書の提出のみで済むので、被害者にとっては簡便な手続といえます。

しかし、後遺障害診断書を保険会社に提出した後は、保険会社により後遺障害診断書以外の書類が準備され提出されるため、被害者にとっては、「後遺障害診断書以外に、どのような書類が提出されたのか」がよくわからないという欠点があります。

これに対し、被害者請求は、後遺障害診断書以外の書類を準備するための手間はかかりますが、書類の内容を被害者自身にて把握できるという利点があります。

御自身で申請するための手間をいとわない方、あるいは弁護士に依頼し、その援助を得ることがきるのであれば、申請書類の内容を把握することのできる、被害者請求とするのがお勧めです。

3 後遺障害認定のための一般的な要件

後遺障害は、治療を継続したにもかかわらず、何らかの症状が残ってしまったもののうち、将来の回復が見込まれず、かつ、後遺障害等級表が定める所定の後遺障害に該当するものをいいます。

このため、事故状況や治療経過に鑑み、将来の回復の可能性があるとされた場合は、後遺障害と認定されることは困難となります。

後遺障害の申請をしたものの、認定されないもののほとんどは、この理由によるものです。

また、将来の回復が見込まれないものでも、後遺障害認定のための所定の要件に該当しないものは、後遺障害としての認定はされません。

例えば、外貌の醜状として、顔面の線条痕が後遺障害として認定されるには、3センチメートル以上の長さが必要とされています。

傷跡があっても、これより短い場合は、自動車賠償責任保険における後遺障害としての認定はされないこととなります。

その理由ですが、自動車賠償責任保険における後遺障害は、これが認定されると労働能力の喪失を伴うものとされており、軽度の障害は、労働能力の喪失までには至らないものと考えられているためです。

4 14級9号(局部に神経症状を残すもの)の後遺障害として認定されるための要件

認定の要件は「通常の労務に服することはできるが、受傷部位にほとんど常時疼痛(注:痛みのこと)を残すもの」です。

このため、「天候が悪いときのみ、痛みが生じる」などのように、痛みの発生が「常時」とはいえないものは、後遺障害として認定されないことになります。

また、将来回復可能かどうか、という点については、事故の態様(車両の破損が大きいなど、身体への衝撃が大きい事故であれば、将来の回復が困難であると認定されやすい傾向があります。)、治療経過(治療期間中、一貫して痛みを訴えていたかどうか。症状固定後も治療を継続しているかどうかなど)を総合的に考慮した上で、判断されることになります。

後遺障害には当たらないとされる場合、その多くは「将来の回復の見込みがないとはいえない」との理由により、後遺障害には該当しないとされることが多くなっているため、認定を得るため、あるいは最初の申請では認定されなかったものの、この認定を覆すためには、事故後の診療録などにより、事故後、一貫して痛みが継続していることについて立証することが必要となります。

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