肩腱板損傷の後遺障害|後遺障害・後遺症でお困りの方は弁護士法人心まで

肩腱板損傷の後遺障害

1 肩腱板損傷と後遺障害

肩腱板は、①棘上筋、②棘下筋、③小円筋、④肩甲下筋の4つの筋肉の腱で構成される組織で,肩甲骨と上腕部をつないでいます。

交通事故に遭い,肩を強打するなどして,この肩腱板が断裂したり損傷したりしてしまうことがあります。

その場合,肩周辺に痛みが残ったり,腕が上がらなくなったりするなど肩の可動域が制限されるといった症状が残ることも少なくありません。

ここでは,肩腱板損傷により痛みや可動域制限が残ってしまったとき,どのような場合であれば後遺障害の認定を受けられる可能性があるかを説明させていただきます。

2 「局部に神経症状を残すもの」(痛みが残った場合)

⑴ 交通事故により肩腱板損傷が生じ,肩に痛みが残った場合で医学的に事故による症状であると説明可能な場合は,「局部に神経症状を残すもの」として14級9号に該当する可能性があります。

⑵ また,症状が他覚的所見に基づくもので,医学的に事故による症状と証明可能な場合は「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級13号に該当する可能性があります。

3 可動域制限が残った場合

⑴ 肩腱板団断裂により,肩の可動域が狭くなった場合は,その可動域制限の程度に応じて「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの(12級6号)」ないし「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの(10級10号)」が認定される可能性があります。

⑵ 健康な肩と比べて,可動域が4分の3以下に制限されている場合は12級6号,2分の1以下に制限されている場合は10級10号に該当します。

⑶ 客観的な数値で等級が変わってくるため,測定の仕方には注意が必要です。

可動域は他動値(他人が腕を持ち上げたときの可動域)で測定しますが,患者が痛がっているのに無理やり腕を上げて測定した結果,過小評価された測定値が残ってしまうことがあります。

また目分量で測定されたため,正確な数字が記録されず,過小評価された測定値が残ってしまうこともあります。

そのため,測定の際にも注意が必要です。

4 肩腱板損傷と交通事故との因果関係

⑴ 注意が必要なのは,肩腱板損傷は,その損傷が交通事故と因果関係があるのか争われることが少なくないことです。

⑵ これは,腱板損傷はレントゲンでは写りにくいためMRIなどの精密検査をして初めて発覚することが多いのですが,すぐにMRIなどの精密検査を受けられるケースが少ないためです。

すぐに精密検査をしないと事故からしばらくたった時点の記録でしか肩腱板損傷を確認できず,事故により生じたものなのかそれともそれ以外の原因により生じたものなのかがわからなくなってしまいます。

そのため,事故後何らかの原因で肩腱板損傷が生じた可能性があるといわれてしまうことがあります。

⑶ また,年齢を重ねている方はいわゆる「四十肩」「五十肩」を元々患っていることがあり,事故とは関係なく肩腱板が損傷していた可能性が否定できないことがあります。

5 肩腱板損傷の後遺障害が気になる方は一度弁護士に相談を

このように,肩腱板損傷の後遺障害は,測定方法や因果関係の証明など注意しなければいけない点が多く,痛みや可動域制限があるにもかかわらず後遺障害が認定されないおそれもあります。

そのため,交通事故に遭い肩腱板を損傷されたという方は,万が一症状が残ってしまった場合はどうすればいいのか,一度弁護士に相談することをおすすめします。

ページ上部へ