味覚障害による後遺障害
1 味覚障害で認定される等級
交通事故によって、食べ物の味が感じられなくなるという後遺症が残ってしまうことがあります。
このような後遺症が「味覚脱失」に該当するときには12級相当、「味覚減退」に該当するときには14級相当の後遺障害が認定されます。
「味覚脱失」とは、濾紙ディスク法による最高濃度液による検査により、基本4味質(甘味、塩味、酸味、苦味)がすべて認知できないものをいいます。
「味覚減退」とは、基本4味質のうち1質以上を認知できないものをいいます。
2 検査方法
味覚の検査方法には、主に①濾紙ディスク法、②電気味覚検査の2つがあります。
①濾紙ディスク法は、試験液として甘味はブドウ糖液、塩味は食塩水、酸味は酒石酸、苦味は塩酸キニーネを用い、これら4種類の味質について5段階の濃度液を用意し、これを浸した濾紙ディスクを舌に置き、味覚の検知閾値と認知閾値を求めるものです。
②電気味覚検査は、直径5mmの円盤状電極を先端に持つプローブを舌や軟口蓋にあてた上、直流電流で0.5~1秒間刺激し、味がしたなら応答スイッチを押してもらう検査です。
3 後遺障害認定を受ける際の注意点
味覚障害による後遺障害認定を受けるためには、①濾紙ディスク法による検査を受けることが必要です。②電気味覚検査では、味の種類を分けて刺激することができないため、後遺障害の認定基準に該当するかどうかの判断ができません。
そのため、味覚に異常があると感じられたら、①濾紙ディスク法による検査を受けることが大切です。
また、味覚障害の有無については、検査結果が重視されているため、そもそも検査を受けていなければ、味覚障害による後遺障害は認定されません。
事故後、味覚に異常を感じたら、すぐに主治医に相談して、専門医を紹介してもらうことをお勧めします。