部位別の症状【障害】目次
味覚脱失
症状例:味が分からなくなった
味覚の脱失とは,濾紙ディスク法における最高濃度液による検査により,甘味,塩味,酸味,苦味の基本4味質のすべてが認知できないものをいいます。
味覚の脱失は,12級相当が認められます。
味覚障害は日時の経過により漸次回復な場合が多いので,後遺障害の認定は原則として症状固定とされてから6ヶ月後に行うことになっています。
後遺障害・後遺症に強い弁護士
部位別の症状【障害】目次
症状例:味が分からなくなった
味覚の脱失とは,濾紙ディスク法における最高濃度液による検査により,甘味,塩味,酸味,苦味の基本4味質のすべてが認知できないものをいいます。
味覚の脱失は,12級相当が認められます。
味覚障害は日時の経過により漸次回復な場合が多いので,後遺障害の認定は原則として症状固定とされてから6ヶ月後に行うことになっています。
自動車損害賠償保障法(以下,「自賠法」といいます。)施行令には,交通事故による後遺障害の内容に応じて1級から14級までに等級分けをした,「後遺障害別等級表」が記載されています。
しかし,交通事故を原因とする味覚障害については,「後遺障害等級表」に定めがありません。
とはいえ,交通事故を原因とする味覚障害については,後遺障害として認められる余地が全くないというわけではなく,自賠法施行令別表第2における備考の,「六 各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって,各等級の後遺障害に相当するものは,当該等級の後遺障害とする。」という定めに基づいて,後遺障害認定がなされる可能性があります。
味覚障害に関する後遺障害等級については,下表のとおりです。
後遺障害等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
12級相当 | 味覚を脱失した場合 |
14級相当 | 味覚を減退した場合 |
※味覚を「脱失」した場合とは,濾紙ディスク法における最高濃度液による検査を行い,基本4味質(「甘味」,「塩味」,「酸味」,「苦味」のことをいいます。)のすべてが認知できない場合のことをいいます。
※味覚を「減退」した場合とは,味覚の減退とは,濾紙ディスク法における最高濃度液による検査を行い,基本4味質のうち1味質以上を認知できない場合のことをいいます。
味覚障害の存在が労働能力へ影響するか否かは,交通事故被害者の方の職業によって大きく変わってきます。
そこで,以下では,交通事故被害者の方の職業別に,味覚障害の影響を検討してみたいと思います。
ア 労働能力の喪失の有無
交通事故被害者の方が,料理人・パティシエ・ソムリエなど,味覚が仕事の内容に直結するような職業に就いている場合は,味覚障害が生じることによって,労働能力への影響が生じることは明らかであると言えます。
イ 労働能力喪失率
また,労働能力喪失率表に記載されている労働能力喪失率は,14級相当の場合が5パーセント,12級相当の場合が14パーセントですが,味覚が仕事の内容に直結する職業に就いている方に極めて重篤な味覚障害が生じてしまったという場合や,職務を行うにあたって味覚の重要性の程度が極めて大きいという場合には,労働能力喪失率表記載の数値を上回る労働能力喪失率が認められる可能性があると思われます。
ア 労働能力の喪失の有無
主婦の方の場合,味覚に障害が残ってしまうと,家事労働の重要な一つである料理に多大な影響が生じることになります(交通事故被害者の方ご本人が味見をしながら調理ができなくなるという直接的な影響のみならず,そのことが原因で,交通事故被害者の方の家族の食生活まで変わってしまう恐れがあるという間接的な影響も考えられます。)
そのため,主婦の方に味覚障害が残った場合においては,家事に関する労働能力の喪失を認めることができる場合が多いかと思われます。
イ 労働能力喪失率
労働能力喪失率については,労働能力喪失率表に従って,一律に5パーセント(14級相当)あるいは14パーセント(12級相当)とされるわけではなく,労働能力喪失率表記載の数値を参考に,具体的に味覚障害がどの程度家事労働に影響しているのかを検討して決定されます。
交通事故被害者の方の職業が,味覚が仕事の内容に直結するものではなく,主婦でもない場合は,味覚障害が存在したとしても,労働能力に与える影響は存在しないか,存在したとしても極めて小さいと考えられます。
そのため,このような場合は,味覚障害による労働能力の喪失が認められないことも少なくありません。
味覚障害は,障害が発生した仕組みによっては将来回復する可能性が存在するものもあると考えられています。
そのため,味覚障害による労働能力の喪失が認められる場合でも,労働能力喪失期間は,単純に就労可能期間の終期である67歳までとされるのではなく,将来における回復可能性の有無や程度を具体的に考慮して判断されることになります。
味覚による労働能力の喪失が認められなかった場合であっても,味覚に障害が残ると,食事の楽しみが失われてしまったり,思い通りに料理を作ることが困難になってしまったりと,多大なる精神的苦痛や日常生活を送る上での大きな不都合が生じてしまうこともあるかと思われます。
そのため,各事案における具体的な事情によって左右されますが,味覚障害の存在が後遺障害慰謝料の増額事由として考慮される可能性があります。
以上のとおり,交通事故を原因とする味覚障害については,自賠責保険における後遺障害として認定される可能性があります。
もっとも,味覚障害に関する労働能力喪失率や労働能力喪失期間等については複雑な問題も存在します。
そのため,交通事故が原因で味覚障害が生じ,ご自身が受け取ることのできる賠償金の金額がいくら程度になるか気になる,相手方保険会社が言っていることが本当なのかわからない等,お悩みやご不安をお抱えの方は,一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士法人心には,交通事故に関する後遺障害を得意とする弁護士も多数所属しておりますので,お困りの方はお気軽にご連絡ください。
不幸にして怪我の程度が重く,治療を続けてもこれ以上良くならないと医師の方が判断される場合は,後遺障害が残ってしまうということになります。
一口で後遺障害と言いましても,自動車損害賠償保障法(以下,自賠法)施行令により第1級から第14級まで後遺障害の内容により分別されています。
自賠責保険会社の後遺障害審査の結果,後遺障害の等級が認定されることとなります。
後遺障害の等級認定の中には,怪我をされた部位・程度により自賠責保険会社から支払われる保険金額と労働能力喪失率というものが定められており,事故の相手方に請求する慰謝料等の計算に使用されます。
たとえば,交通事故に遭ってしまったがために,嗅覚や味覚に障害が残ってしまったり,嗅覚や味覚が失われてしまうというケースもあります。
こうしたとき,症状によって医学的所見に基づき自賠責保険の後遺障害の等級審査がなされ,等級認定を受けるか非該当であるかの判定がなされます。
また,料理人など素材の良し悪しや出来上がりの料理を嗅覚や味覚の異常により判定しがたい,また,教師が嗅覚脱失によりガス漏れ等の危険を察知して迅速かつ的確に避難誘導することができないなど,職業上仕事に支障をきたす等の理由により,通常の後遺障害等級認定より労働能力喪失をより認めるなどし,後遺障害の慰謝料増額を認められた裁判例もあります。
後遺障害の等級認定には専門的かつ高度な知識が必要不可欠であり,当法人にお任せいただければ認定に向けての必要な申請準備や画像データなど医療機関から必要書類を代行でお取り付けさせていただくことも可能です。
事故に遭われた場合の解決までの今後の流れ,妥当性の判断など,疑問に思う点がおありでしたら,ご納得いただくことができるように対応を心掛けておりますので,事前にご予約のお電話を入れていただき,当法人にご相談のご検討いただければと思います。